【樂華】津軽の夏を彩る!中学生ねぷた絵師・菊池虎太朗さんの挑戦

インタビュー

掲載日:2025年7月31日

8月になると、青森は世界に名だたるお祭りの期間に入ります。 

その中でも弘前市で親しまれるのは『ねぷた』と呼ばれる扇型の山車が特徴のお祭りです。 

今回は小学生の頃からテレビ番組の全国放送に登場し、中学生にしてねぷた絵師として筆をふるう菊池虎太朗さんにインタビュー。 

その魅力を語っていただきました。 

 

名前 

菊池 虎太朗(雅号『樂華』)

公式 

・Instagram
https://www.instagram.com/neputaman 

・YouTube
https://www.youtube.com/@tsugaru_kyourakukai 



部屋はねぷたコレクションがずらり 

7月下旬のある日、虎太朗さんがねぷたの鏡絵(表側の絵)を描くとのことで、弘前市内のご自宅に伺いました。 

まず、ご自宅の外から窓を見上げると……

外からでもわかる、ねぷた絵の密集ぶり!  

お父さんと虎太朗さんに続いて部屋に入ると、右を見ても左を見ても、天井にいたるまでびっしりとねぷた絵が並んでいました。

 その中央で鏡絵を描く虎太朗さん。 

このねぷたコレクションの主です。 

現在、中学2年生の虎太朗さんは、小学生の頃からこのねぷたコレクションやねぷた絵描きの様子をSNSなどで発信していました。 

『ねぷた博士ちゃん』と呼ばれる虎太朗さん、いつからその魅力にハマったのでしょうか? 



ねぷたとの出会い 

虎太朗さんは青森市生まれ。 

3歳の頃にお父さんの出身地である弘前に引っ越します。 
そこで初めて見た弘前ねぷたまつりで衝撃を受け、いきなり魅力に取り憑かれてしまったそうです。 

園児の頃はコピー用紙に色鉛筆でねぷた絵を描き始め、小学生になってからは自ら希望してねぷた塾に入って、本格的にねぷた用の染料や蝋を使って描いていました。 

特に家族にねぷた絵師やねぷた団体の関係者がいたわけではなく、自発的な虎太朗さんの熱量を応援する形だったとお父さんは語ります。 
「負けず嫌いなのも大きかったと思います。ねぷた塾の展示を見て、同じくらいの子が自分より上手かったのが悔しくて、泣きながら自分も通いたいと訴えてきました」 

天井に飾られていた絵は小1の頃の作品

どうして3歳の頃に見たねぷたが、ここまで描いたり運行に出陣したりするほどハマったのかは、虎太朗さん自身にもわからないそうです。 



「ねぷた博士ちゃん」テレビ番組で全国デビューする 

そんなねぷた好きの日常をSNSで発信し続けていたら、思わぬオファーが舞い込みます。 

地上波全国ネットのバラエティ番組「サンドウィッチマン&芦田愛菜の博士ちゃん」で、「ねぷた博士ちゃん」として出演することになりました。 
「最初にメッセージを見た時は詐欺かと思った」と笑う虎太朗さんとお父さん。 

当時はコロナ禍で「博士ちゃん」をスタジオに招くことができなかったため、「お部屋がすごい博士ちゃん」の動画を紹介する企画で、ねぷたコレクションを増やし続ける虎太朗さんに白羽の矢が立ちました。 

当時の虎太朗さんのInstagramにも、その時のことが載っています。 

ねぷたに囲まれ、ねぷた絵師を目指して描き続ける「ねぷた博士ちゃん」は注目を集め、その後も同番組に何度も登場し、他のテレビ番組やメディアにも出る機会が増えました。 

小学生の頃から物おじせずに好きなことをまっすぐ発信する姿が、県外にも多くのファンを作ってきたのでしょう。 



ねぷた絵師・菊池樂華(がくか)として 

中学生になった虎太朗さんは、師匠であるねぷた絵師・山谷寿華さんから授かった雅号「菊池樂華(がくか)」の名で、ねぷた絵師として活動をしています。 

2023年には黒石ねぷたで、2024年には弘前ねぷたで、前ねぷたの絵師を務めました。 
今年も黒石ねぷたまつりの垂柳ねぷた親和会の前ねぷたを手がけ、運行にも横笛で参加するそうです。 

また、この日描いているのは浪岡で運行されるねぷたの鏡絵でした。 

お話をしている時はひょうきんさも見せる虎太朗さんですが、描いている時は真剣そのものです。  

緑の染料を塗ると蝋引きをした箇所が浮かび上がる

「目標は地元の弘前ねぷたまつりで本ねぷたの絵を描くこと、将来の夢は竹森節堂さんや石澤龍峡さんのように、ねぷたの歴史に名を残す伝説のねぷた絵師になること」 
と虎太朗さんは語ります。 



横笛奏者として、『響樂會(きょうらくかい)』代表として 

虎太朗さんには、『ねぷた絵師・菊池樂華』の他に、横笛奏者と『響樂會(きょうらくかい)代表』の顔もあります。 

まず横笛は、ねぷた囃子を自分でも吹きたいと2年前から始め、なんと昨年の全日本横笛コンクールエントリー部門で優勝! 

弘前だけではなく、黒石や平川のねぷた運行でお囃子に参加したり、ねぷた以外にもお山参詣の囃子も覚えたりしているとのことです。 

「お囃子もそれぞれ地域や団体によって節がぜんぜん違うので、難しいですね」 
と言いながら、とても楽しそう。 

西弘ちょうちんまつりの中野ねぷた愛好会運行に参加

『響樂會』は虎太朗さんがねぷた友達と始めたグループで、ねぷたを作ったり、囃子を演奏したりすることが大好きな子ども・若者が集っています。 
「最初は軽いノリで3人で始めましたが、今では小学生から大学まで13人のメンバーがいます。今年の11月に京都に呼ばれて展示会をすることになりました」 

そう、ここ津軽地方には、虎太朗さんだけではなく、将来ねぷた絵師になりたい、演奏者になりたい、ねぷたに関わる仕事をしたいと本気で夢見る子が確かにいるのです。 
筆者も弘前で子育てをする中で、保育園や学校でそういう子に出会うことが何度かありました。 

今回の取材は、伝統行事であり、一大観光イベントでもあるねぷた祭りが、地域の人たちにしっかりと根付いていることを実感する機会になりました。 

 

帰りに見上げた窓。この障子の絵も虎太朗さんの作品の一つ



虎太朗さんが描いたねぷたを見るには 

虎太朗さんが描いた前ねぷたは、黒石の「垂柳ねぷた親和会」にて運行されます。 
7月30日 黒石ねぷた祭り合同運行 
8月2日 黒石ねぷた祭り合同運行 
8月4日 田舎館ねぷた祭り合同運行 

浪岡では8月9〜12日、16日、17日に「本郷ねぷた幸寿会」にて運行されます。 

お近くの方はぜひ足を運んでみてください。 

また、横笛奏者としての虎太朗さんは、弘前ねぷたを含む各地ねぷた祭りに参加するそうです。
出演予定はInstagramをチェック! 
・虎太朗【樂華】(ねぷた博士ちゃん)  https://www.instagram.com/neputaman/ 
・津軽笛奏者 菊池 虎太朗 https://www.instagram.com/yokobue_kotaro/ 

 

記録的な大雪の冬から、あっという間にねぷたの季節。 
今年の夏も、じゃわめいで過ごしましょう! 

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