弘前公園で先日まで開催されていた「弘前城菊と紅葉まつり」(2025年10月31日~11月9日)。
多種多様な紅葉とアート、出店が集う大人気のイベントです。
特にこの2025年は、長年親しまれた『菊人形』の引退、工事中で通れない『杉の大橋』、そして『展望デッキからの天守』の見納めなど、まさに『今年しか見られない風景』が満載の、特別な年となりました。
本記事では、今年の貴重な姿を弘前市民ライターが写真たっぷりでお届けします。
今回は来られなかった方も、来年こそは!と思っている方も、ぜひ旅行計画の参考にご覧ください。
イベント名 | 弘前城菊と紅葉まつり |
|---|---|
場所 | 〒036-8356 |
会期 | 2025年10月31日(金)~11月9日(日)9:00~20:00 |
公式 | ・HP |
あの「菊人形」が引退していました
今回、開催前日にニュースを見てびっくりしました。
「菊人形」が昨年をもって引退、今年の菊と紅葉まつりには出ないとのこと。
昔からこのイベントの主役として愛されてきた伝統ある菊人形。
見たことが無い方に説明しますと、等身大より二回りくらい小さいマネキン人形に、菊で着物や鎧を描いて、大河ドラマや津軽の歴史の場面を展示していたものです。
百聞は一見にしかず、2016年の菊と紅葉まつりに展示されていた菊人形たちをご覧ください。
「子どもの頃は怖かった」と言われる菊人形ですが、福島県などいくつかのお祭りで昔から伝わるもので、弘前の菊人形も関東から専門業者の方が来て制作していました。
それが数年前から地元の女性たちに継承されていましたが、コロナ禍を経て徐々に菊人形の展示部分が少なくなり、昨年の菊と紅葉まつりでは入賞した菊を展示するコーナーに少し立っているのみでした。
あの時が最後になったとは…
このまつりの伝統的なシンボルだった『菊人形』の展示は一つの区切りを迎えました 。
その代わりに、近年さらに魅力が増しているのが、光と紅葉が織りなす幻想的なアートです。
伝統を受け継ぎつつ、新しい魅力が加わった『きくもみ』の姿をご紹介します。
竹あかりで迎える2025年
.jpg)
今年は熊本県を拠点に国内外で活躍する“竹あかり”総合プロデュース集団「CHIKAKEN(ちかけん)」によるオブジェが、東内門前と植物園北側入り口などに展示されていました。
まっすぐな竹を組み合わせているのに、上の写真のような曲線ができるのが不思議です。

色づいた紅葉と和風の竹あかりがマッチして、夜に訪れた人たちを感嘆させていました。
なお、この竹あかりを含む弘前公園のライトアップはまつり終了後も11月16日まで延長となり、弘前公園の夜を彩りました。
杉の大橋が工事中で通行止めでした

これも今年だけの大きなトピックス。
南内門前の「杉の大橋」が改修工事のため通行止めになっており、植物園内の迂回ルートを行き来しました。
これは2025年だけの貴重な体験でした。

なお、杉の大橋改修工事の通行止めは1月下旬までの予定です。
2月の弘前城雪燈籠まつりの頃には解消され、来年のさくらまつり、菊と紅葉まつりは新しくなった杉の大橋を渡れることでしょう。
展望デッキから見る弘前城天守と岩木山は最後

こちらは今年で最後の風景です。
弘前城天守は石垣の補修工事のため2015年に曳屋をして、今の広場に移っています。
合わせてお城と岩木山と桜が一望できる展望デッキを作り、これまで多くの人を楽しませてきました。
石垣の工事も終盤を迎え、いよいよ来年(2026年)には弘前城天守が元の位置に戻ります。
この展望デッキからの光景も間もなく終了。
天守の中を見学できるのも、11月23日までとなります。
その後は数年間、天守の補修工事のため、中に入ることはできませんのでご注意ください。
さて、ここまでが今年2025年ならではのトピックスでした。
次は昔から変わらないところと、最近の見どころをご紹介します!
フラワーアートを彩るプロジェクションマッピング
.jpg)
弘前城植物園の自由広場には花景家・阿部喜恵さんと弘前ねぷた組師の協業によるフラワーアートが設置されています。
2020年から始まったこの新しい菊と紅葉まつりのシンボルは、「青龍」「朱雀」「玄武」など東洋の神獣がモチーフ。
6回目の2025年のタイトルは《綾山玄武》。
玄武の甲羅となる中央は岩木山の形をしています。
夕方以降には、ここにプロジェクションマッピングが投影され、玄武が生き生きと躍動しました。

この自由広場の出入り口には花の輪もあり、夜のライトアップ時にはここで写真を撮る人の列が絶えませんでした。

願いを叶えるぽんぽんマムの庭

こちらは昨年に続いての登場です。
毛糸で作られた「ぽんぽんマム」に願いごとを書いた短冊を飾ったぽんぽんマムの庭。
ライトアップされると光の中を歩く道ができて、とても幻想的です。
日中に様々な願いごとを見るのも楽しいですね。
家族の健康を願ったり、受験合格を願ったりする他、「おいしいものを食べてやせたい」などとクスっと笑うような願いもあります。

この三の丸庭園には他にも小さなりんごと花を使った「りんごの花手水」や、フェリシモと津軽びいどろのコラボによる傘を使った展示もあり、多くの方がスマートフォンやカメラで写真や動画を撮影していました。


夜に来ると映える写真が撮れることから、昔に比べてぐっと若い世代や海外からの観光客が増えてきたように感じます。

昔ながらのコンテンツも人気です

とは言え、すべてが新しく現代風になったわけではありません。
バラ園の近くでは、10年前にも子どもが楽しんだミニ新幹線が運行していました。
自由広場のステージでは津軽三味線の演奏や、歌謡曲ショーも開催されています。

最初に見た時は
「え、植物園の中に屋台!?」
と思ったまつり期間中の露店もレトロ風味いっぱいです。
.jpg)

今年の菊と紅葉まつり期間は、週末に限って天気が悪く、屋外で食べるのは難しかったですね。
そんな時は屋根のある休憩所兼本部兼展示場へ。

肉まんやおそば、うどんなどあったかいメニューが揃っています。
この日は天ぷらそばが、芯まで冷えた体を中からあっためてくれました。

変わらない弘前の魅力
.jpg)
菊人形の展示が退いて、新しいライトアップやオブジェが並んでいても、この園内を散策して感じたのはゆったりとした和の時間でした。
市のキャッチフレーズの通り、りんごも(紅葉した)桜も、弘前城もたっぷり見られる上に、ねぷた、津軽三味線、竹細工、雪吊りの飾りなど元々ここにあった文化が集まっています。
もっと人がたくさん来てもおかしくないけれど、まだ世間に見つかっていない。
そんな気がしています。

2026年、歴史が動く瞬間へ
菊人形から光のアートへ、そして天守の眺望。
2025年の弘前城菊と紅葉まつりは、まさに『移り変わる今』を体感できる特別な期間でした。
さて、来る2026年の秋。
弘前城天守は、いよいよ元の位置へ戻るための曳屋(ひきや)工事の最中か、あるいは戻った直後かもしれません。
その時しか見られない『歴史が動いている瞬間』と紅葉のコラボレーションは、今年とはまた違う「2026年だけ」の光景となるはずです。
このレポートを読んで、弘前の秋を楽しみたくなったら、ぜひ今から来年の旅行スケジュールに入れてみませんか?
なお、弘前城菊と紅葉まつりは毎年10月末から11月初旬頃に開催されています。


