【可否屋 葡瑠満】弘前公園のお濠を眺めながら極上の可否(かうひい)はいかが?

カフェ・スイーツ

掲載日:2025年11月5日

弘前公園東門の近くに、白いすっきりとした建物があります。

「可否屋 葡瑠満」(かうひいや ぶるまん)。

美しい佇まいに誘われるようにお店のドアを開けると、そこには優雅でゆっくりとした時間が流れていました。


店名

可否屋 葡瑠満 (かうひいや ぶるまん)

場所

〒036-8356 
青森県弘前市下白銀町17-39

営業時間

10:00~17:00

定休日

月曜日/第2・第4火曜日

電話

0172-35-9928

駐車場

店舗裏側に4台

公式

・Instagram
https://www.instagram.com/official_buruman/



レトロで美しい店内に魅了される

店内に入ってまず目をひくのが広い1枚板のカウンターと、その後ろにずらりと並ぶ美しいコーヒーカップのセット。

えんじ色のビロードの椅子にレトロ調のインテリア。

華やいだ気持ちになります。

物腰の柔らかい奥さまが持って来てくれたのは、手作りスイーツの写真が載った木枠のメニュー表。

1979年の創業から定番のちいずけいき、季節ごとの食材を使ったケーキなど、本物の良質な素材のみを使った、自家製のケーキが載っています。

紙のメニュー表は、50年ほど前に、銀座の「可否屋 葡瑠満」で作られたものを受け継いでいます。

弘前の地で、マスターがこだわり抜いて確立した「かうひい」が並びます。

「ひらがなとカタカナが混じった表記は、戦前に使われていたそうです。創業者の粋な演出だったのでしょうね。」と奥さまが教えてくれました。

紙のメニューは持ち帰ることができるので、旅の記念になりますね。

さて、どれにしましょうか。

弘前アップルパイガイドマップにも掲載されているこのお店、もちろんアップルパイは外せません。

アップルパイは、お好みでシナモンをあとから掛けるタイプです。

半分にカットされているので、片方にシナモンをかけて、味の違いを楽しむことができます。

奥様が丁寧に説明してくださいました。

合わせる飲み物は、「すまとら・まんでりん」にしました。

カウンターの中では、ネクタイをきりっと締めたマスターが、美しい所作で「かうひい」を淹れます。

一杯一杯丁寧に淹れる一連の流れには、見とれてしまいますね。

一杯に30グラムの豆を使い、注文を受けてから豆を挽くそうです。

200客はあるという大倉陶園のカップの中から、お客さまの雰囲気に合わせて、マスターがカップを選びます。

私には、どんなカップが選ばれるのでしょうか。



芸術とも呼べるカップとお皿で提供

透き通るような白に藍色の模様が入った美しい器に、コーヒーとアップルパイが引き立ちます。

サックサクの生地に、完熟ふじの自家製コンポートがのったアップルパイは、手で食べるタイプです。

シナモンをかけない半分は、りんごの味がよくわかります。

半分にはシナモンを少なめにかけてもらいましたが、上品なお味なので、シナモンが好きな人は多めにかけてもらってもよいでしょう。

コーヒーは濃いはずなのに、すっとした口あたり。

雑味もなく、甘さが控えめなアップルパイによく合います。

このアップルパイですが、来年の4月からは冬季限定のメニューになるそうです。

今季を逃すと、来年の11月中旬まで食べることが出来なくなります。

ぜひお早めに。



お店とマスターの歴史が詰まった「ちいずけいき」と「ふれんち」

今でこそ、アップルパイが人気のお店ですが、創業当時から提供されてきたのが「ちいずけいき」です。

マスターおすすめの「ふれんち」コーヒーに合わせて作られました。

杏の赤ワイン煮がちょこんとのった、シンプルな形ですが、味わいは濃厚です。

ケーキを口に含んだまま、「ふれんち」を飲むと、ケーキがとろりと溶けていきます。

もちろんケーキは美味しいのですが、主役は「かうひい」です。

マスターが突き詰めてきた「かうひい」、最後のひと口を飲んでしまうのがもったいない気がしました。



これこそがカフェカプチーノ

大手コーヒーチェーンの広がりで、いろんなタイプのコーヒーを飲むことができるようになりましたが、このお店でまさかの出会いがありました。

メニューには、「かふえかぷちいの(一九七〇年代風)」とあります。

この頃喫茶店のメニューでも、なかなか見かけないカフェカプチーノですが、学生時代に飲んだものが忘れられずにいました。

ここで提供されたものが、まさにイメージ通りのものでした。

甘く優しい香りのオレンジと、贅沢にもシナモンスティックが1本添えられています。

「シナモンスティックを浸けておくと、味わいが違いますよ」と奥さまがアドバイスしてくださいました。

スイーツのように、ゆっくり一口ずつ味わい、優雅なひとときを楽しみました。



もうひとつの楽しみは、店内に飾られた写真と窓から眺める弘前公園

実は、マスターはプロの写真家でもあります。

もともとは写真家を目指していたのですが、弘前に帰ることになり、可否屋葡瑠満を開業されたとのことでした。

白神山地や弘前の洋館、可憐な草花の写真が飾られていて、小さな写真展のよう。

また、窓からはお濠の向こうに弘前公園を眺めることができます。

季節の移り変わりによって、窓の景色も変わっていきます。

公園内を散策してから、この店を訪れてもよし。

また、美味しいコーヒーを味わってから、公園を散策してもよし。

 お店を出たあとは、なんだか自分も上品で優雅になった気分になりました。

 

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