【万茶ン】太宰ブレンド+りんごのてぃらみすが絶品!東北最古の喫茶店が復活した理由

カフェ・スイーツ

掲載日:2025年12月5日

土手町のかくみ小路に位置する「万茶ン」は昭和4年の創業で東北最古、日本でも4番目に長い歴史を持つ喫茶店です。

閉店の危機を全国からの支援で乗り越えて2024年12月から5代目店主によって再開して間もなく1年。

そんな万茶ンを訪ねてきました。

 

店名

土手の珈琲屋 万茶ン

場所

〒036-8182 青森県弘前市土手町36-6 1F

営業時間

13:00〜19:00(L.O18:30)

定休日

日曜日、他不定休 

電話

なし

駐車場

なし

公式

・X https://x.com/manchan1929

・Instagram https://www.instagram.com/manchan_1929_5th/




『万茶ン』へのアクセスは?

(土手町通りからかくみ小路に入ると、左手側に万茶ンが見えます)

土手町通りの『土手町コミュニティパーク』から『かくみ小路』に入り、少し進むと左手側に半身のコントラバスが目印の『万茶ン(まんちゃん)』があります。

弘前駅から徒歩の場合は25分ほど、土手町循環バスに乗って『下土手町①』で下車すると約1分で到着します。

車の場合、お店に駐車場はありませんが、近隣にコインパーキングが数多くあります。

(万茶ン外観)



 入店前にメニューで本日のスイーツを確認

(店頭のメニューで料金と本日のケーキを確認)

ドアの手前には現在のメニューが置かれています。

ケーキ、アップルパイなどのスイーツは日によって提供できるものが変わるので、お目当てがある方はここで確認しましょう。

春に弘前公園でさくらまつりが、夏に弘前ねぷたまつりが開催されている期間などは、ドリンクメニューのみとなっていることもあります。

和洋が入り混じるレトロテイストな店内

(万茶ンの店内)

店内はレトロな雰囲気がありながらもきれいで、とても昭和4年(1929年)から90年以上の歴史があるようには見えません。

実は今の店舗は1959年に移転してからの場所で、その後2017年にオーナーが変わった際に水回りなども含めて改修されているのだそうです。

それでも創業時からあるシャンデリアや振り子時計、シンボルのレリーフは残っていて、太宰治、石坂洋次郎も通っていたという当時の雰囲気を伝えています。

(シンボルのレリーフと創業時の写真が飾られている)


太宰ブレンドとオリジナルてぃらみすをいただきます!

(スイーツとドリンクのメニュー ※2025年11月時点)

メニューを見てしばし迷いましたが、今回は『太宰ブレンド・昭和の珈琲』『万茶ンオリジナルてぃらみす』をいただきます。

珈琲は1オーダーごとにサイフォンで淹れられます。

(サイフォンで淹れられる珈琲)

最初の一杯はカップに注いだ状態で、おかわりはサイフォンのままで客席に運ばれてきました。

紅茶をポットで提供するお店はたまにありますが、コーヒーがおかわり付きなのは珍しいですね。

(太宰ブレンドとティラミス)

太宰ブレンドはメニューに「苦味強め」と書かれていた通り、一口目からしっかり苦味とコクが伝わってきます。

この太宰ブレンドをスポンジにしみ込ませているというティラミスは……?

(甘さ控えめのティラミスの底にりんごのコンポートがぎっしり)

こちらは意外と苦味は無く、甘さも控えめですいすいと食べられます。

底には地産のりんごのコンポートがぎっしり敷かれていて、爽やかな酸味と甘さを足してくれています。

コンポートに使うりんごは季節によって変わるとのこと。

太宰ブレンドとの相性もよく、交互にいただくことでお互いを引き立てあっているようでした。

なお、ケーキやアップルパイは市内の洋菓子店から仕入れをされているそうです。

以前訪れた時は『ノエル』のアップルパイをいただきました。

シナモンの香りがしっかりしていて好みのパイです。

(別の日にいただいたノエルのアップルパイ)

ケーキ・アップルパイは日によって変わり、売り切れになることもあるので、お店の前のメニューで事前にわかるようにしているとのことです。



5代目店主かおるさんは元タクシー運転手

(万茶ン5代目店主のかおるさん)

 お店は5代目店主のかおるさんが一人で切り盛りしていました。

着物にフリル付きのエプロンの大正浪漫スタイルがとても素敵です。

実は、筆者はかおるさんを数年前からSNSでフォローしていて、その頃はタクシー運転手として津軽弁で弘前の魅力を紹介したり踊ったりされていました。

アップルパイコンシェルジュとして観光ガイドもできるタクシー運転手だったかおるさんは、休日もカフェ巡りが趣味で先代オーナーの頃にも何度も万茶ンに通っていたそうです。

歴史あるお店が休業して後継者の公募を見た時に、その灯を絶やしたくないと応募、30人以上の候補者の中から選ばれました。

2024年のうちにオープンするために初めてクラウドファンディングを立ち上げ、全国から242人の支援を受けて開店資金を準備しました。

そして、12月6日に万茶ンは再び開店したのです。



ミックスカルチャーの拠点として

(弘前を舞台とするアニメふらいんぐうぃっちと、外ヶ浜町の風乃まちコーナー)

かおるさんが新しい店主となってスタートした万茶ンは、これまでと同じく弘前の歴史を伝える写真や太宰治の著書が並ぶ一方、津軽地方に縁があるアニメやマンガ、ご当地萌えキャラなどポップ・カルチャーのグッズも多く並んでいます。

弘前がモデルとなっている「ふらいんぐうぃっち」は、かおるさんにとっても「この街がアニメに出るなんて!」と衝撃を与えた作品で、マンガの単行本ほかアニメ化された時のグッズが並んでいます。

その隣には外ヶ浜町の「風乃まち」ちゃんの紹介コーナー、あちらには弘前さくらまつりを応援している桜ミクのグッズ、こちらにはご当地アイドルりんご娘やライスボールも。

(ご当地アイドルと文芸作品が並ぶ棚)

それらが代々受け継いできたアルバムや弘前の歴史を伝える書籍と、なだらかにつながって並んでいるところが、新しい万茶ンの魅力の一つになっています。

(右の写真立てには若い頃の太宰治が写っていました)

「ただ昔のままにしていても人はどんどん減っていくので、裾野を広げることをしていきたいですね」と笑顔で語るかおるさん。

万茶ン創業者の香西カネさんは、昭和初期としては珍しいアメリカで育った帰国子女で、そこで得たコーヒーの知識と体験が東北で初めてのカフェを開業することにつながりました。

海外帰りのカネさんは当時の日本でなかなか受け入れられず辛い思いもしましたが、そのバックボーンが新しい文化を吹き込む力になりました。

そんな初代のストーリーを、アルバムをめくりながら語るかおるさんを見ていると、新しいことを始める女性として通じるしなやかさを感じます。

もうすぐ2年目を迎える万茶ン、古きものと新しきものが交わる場所へぜひ足を運んでみてはいかがでしょうか。

 

 

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